行政学者からも、教育委員会制度廃止解体・縮小論が挙がる。伊藤正次は、『岩波講座 自治体の構想 機構』において、今後の教育行政改革のあり方について、?教育委員会活性化モデル、さらに、一般行政の中における?総合行政モデル、?保護者の学校選択制を基盤とした市場・選択モデルの3つのガバナンス・モデルにタイプ化し、教育行政の一般総合行政への統合に言及した。
第一の教育委員会活性化モデルとは「従来の文部省統制の緩和を目指しつつも、制度の根幹には改革の手を加えず、むしろ、教育委員会の専門性を高め、自治体内部における教育委員会のプレゼンスを拡大することを指向」する。後述するように教育行政職・教職関係者を重用することで教育委員会の専門性を高めようとするもので、文部省のみならず教育学界や教職員関係者からも支持を得ている。
第二の一般総合行政モデルは、教育委員会が首長から相対的独立性を有している点を問題視し、「教育行政を直接公選の首長の下に置」き、「教育委員会を廃止して首長の補助機構としての部局に再編化する」ことである。文化・社会教育行政、学校教育行政の所管を自治体の自主性にゆだねることにより、自治体住民の代表である首長が「住民のニーズに沿って総合的な教育施策を展開する」ことを意図している。
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第三の市場・選択モデルは「教育行政機構自体の徹底的な分権化を指向する」。このモデルは「学校に組織としての自律性を与え、同時に、親・子どもに学校を選択する権利を付与することで、公教育の供給をめぐる競争市場を創出することを提唱する」。市場・選択モデルは、「文部省統制と画一的学校管理からの脱却を目指して公教育に市場原理を導入するとともに、教育委員会から各公立学校に大幅な権限委譲を行い、教育委員会の機能を縮小ないし停止させる構想」である。
伊藤はこうして3つのガバナンス・モデルを提示した上で、「教育委員会活性化モデルが、実際に教育委員会の活性化をもたらすかどうか」疑問を呈した。「教育委員兼任教育長が現状以上に主導権を握り、委員会審議がさらに形骸化する可能性があるなど、教育委員会の活性化をめざした改革が、教育委員会のさらなる形骸化を招く可能性がある」からとする。伊藤は、「都道府県・政令市から小規模町村まで一律に教育委員会が設置され、教育行政ネットワークが全国大に張り巡らされてきたこと」によって「文部科学省を頂点とする中央集権的な指導助言のネットワークが、首長、議会あるいは住民の意思から遊離していく危険性」を指摘する。地方教育行政法の廃止と地方自治法の改正による教育委員会の必置規制の廃止、教育委員会必置規制の廃止、自治体が自らの判断で教育ガバナンスの形態を選択できるよう教育ガバナンスの多様化を主張している。